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労働契約に於ける法的優位関係

  • 執筆者の写真: Konno.y
    Konno.y
  • 2018年5月21日
  • 読了時間: 4分

更新日:2018年10月6日

労働契約には、労使間での「個別労働契約」の他に、会社に労働組合がある場合は、会社と労働 組合との労働契約の取り決めとして「労働協約」があり、また、労働者10名以上の事業場では労基法で定める「就業規則」の定めがある。


労基法は、国が定めた労働者保護の観点から、労働条件の原則や労働条件の最低基準を定めたものである。


これらの基準は、正社員は勿論のこと契約社員・非正規社員・有期契約労働者・パートタイマー・アルバイトなどの短時間労働者・派遣労働者に対しても同様に適用される。


それでは、労働法を基本原則として先に述べた労使間での、「労働契約の優先順位関係」はどの様になっているのかを見ていこう。


労働法を基本原則として見た場合、次に優先するのは「労働組合と会社で契約する労働協約」である。


労働協約の効力には、「規範的効力」と「債務的効力」の2つがある。

「規範的効力」とは?


労働法を根拠として労使間の「個別労働契約」内容が、組合と会社間の「労働協約」に反するもので、いわゆる労働条件が低く、労働協約に満たない場合は、その個別労働契約の部分は「無効」となり、「労働協約の内容が基準となる」効力のことを言い、賃金や労働時間・その他・労働者の待遇についての基準を定めた部分を、労働協約の「規範的部分」と言い、「労働組合法上特別の効力」が与えられています。


要するに、労働協約に定められた基準が、就業規則や個別労働契約で決められた基準よりも「優先」し、会社(使用者)は、労働協約で決められた基準を「遵守しなければならない」と言うもので、この様な効力を労働協約の「規範的効力」と言う。


一方、「債務的効力」とは、会社(使用者)と労働組合との間に生ずる「関係」を定めた部分を「債務的部分」と言い、「規範的部分」以外の取り決め事項を言う。


「債務的部分」は、非組合員の範囲、ユニオンショップ、便宜供与(組合事務所・掲示板)、組合活動のルール・労使協議制・団体交渉のルール・委任禁止事項・団体交渉の時間等・平和条項・苦情処理・争議行為の制限など労使間の約束事を定めた部分がこれにあたる。


以上の事を踏まえ、労働契約に於ける「法的優位関係」についてまとめると


1・労働法(基本原則)


2・労働協約


3・就業規則


4・個別労働契約

となる。


※ただし、ここで注意するポイントがある!


労契法第7条において

第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。


ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。 


第12条  

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。


これは、労契法第7条の趣旨で「就業規則により個別労働契約を補充する事を規定」していることから、第7条本文の規定による法的効果が生じるのは、個別労働契約において「詳細」に定めていない部分についてであり、「就業規則の内容と異なる労働条件に合意」していた部分については、「労契法第12条に該当する場合」として個別労働契約の内容が、就業規則に定める基準に達しない場合を除き、その「合意内容が優先するもの」であることとされている。


すなわち、就業規則で「基本賃金、月 /21万円」の定めをしていた場合、個別労働契約で「基本賃金、月 /19万円」の定めをした場合は、個別労働契約は就業規則の定めに満たないことから無効となり、就業規則の「基本賃金、月 /21万円」を適用する事となる。


逆に、個別労働契約で「基本賃金、月 /23万円」と契約した場合は、就業規則の基本賃金基準を上回っているので、「その合意が優先する」事となり「基本賃金、月 /23万円」が適用されると言う事になる。


この点に注意する必要があるので覚えておくと損はない。

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