労働契約法と労基法
- Konno.y
- 2018年4月9日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年10月6日
今回は、労働法の中の「労働契約法」と「労働基準法」の2つの法律で、「労働契約」に於いての「法の違い!」について話して行きます。
労契法第6条(労働契約の成立)
*労使間の合意があればそれで契約成立
*労使間の合意のみの成立
したがって、労働契約の成立要件としては、契約内容について書面を交付するまでは求められていない。
また、労契法第6条の労働契約の成立の要件としては、労働条件を詳細に定めていなかったとしても労働契約は成立する。(合意があったその場で成立する)
簡単に言えば、
労働者が「あなたの会社で私が労働力を提供しますから、雇ってくれますか?」と言い。
会社(雇用主)が「あなたが会社(私)に労働力を提供してくれるなら、その対価として賃金をお支払いします!」と答えた。
これで「労働契約は成立」したことになる。
これが、労契法第6条の「労使間の合意にのみ労働契約は成立する」と言うことである。
この場合、労働条件や賃金額などの詳細の定めをせず、契約書などの書面も交わしていないが契約は成立する。
一方、労働基準法ではどうか?
労働基準法第15条(労働条件の通知)
労働基準法第15条第1項では、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、 労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
となっており、労基法第15条では、必ず労働条件を明示しなければならないと規定されている為、労働条件を明示しなければ「法違反」となる。
ここで言う「労働条件の明示」とは、「労働条件通知書」と呼ばれるもので、明示する条件については「労働基準法施行規則第5条」を満たしていなければならない。
*労働条件通知書の専用様式もあるが、明示項目を満たしていれば、任意の様式でも問題ない!
明示すべき労働条件(労働基準法施行規則第5条)
*1から5については特に書面による明示義務があります。
1. 労働契約の期間に関する事項
2. 就業の場所、従事する業務に関する事
3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
4. 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
6. 昇給に関する事項
7. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項
8. 臨時に支払われる賃金、賞与及び最低賃金額に関する事項
9. 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
10. 安全・衛生に関する事項
11. 職業訓練に関する事項
12. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
13. 表彰、制裁に関する事項
14. 休職に関する事項
※就業規則の絶対的必要記載事項と同一の事項については、労働契約締約時に労働者に適用される部分を明らかにした就業規則を交付すれば、当該事項を再度書面により明示しなくても問題ない。
この様に、労契法と労基法では「契約に於いての要件」に明確な違いがある事に十分注意する必要がある。
ちなみに、民法ではどうなっているかと言うと
民法第623条(雇用)
雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
となっており、民法第623条によれば、雇用とは「金銭と労働力を交換する契約」であるとされており、また、一般の社員、工員、公務員はもとより、アルバイト等にいたるあらゆる労働関係は「雇用契約」によるものであるとされている。
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