経営者が抱く残業代の不合理
- Konno.y
- 2017年12月26日
- 読了時間: 2分
更新日:2018年10月6日
労働基準法における割増賃金、いわゆる残業代と呼ばれているものであるが、近年、企業において「年俸制」が人事制度として導入され始めている。
年俸制においての評価制度は、企業により様々であるが、例を挙げるなら、賃金の全部または相当部分を労働者の業績(目標達成度)を評価して「年俸に反映する」制度としている企業もある。
これは、目標管理の手法を用いて、「能力給・業績給」の評価を高めた賃金制度の様である。
つまり、年俸制の対象者に1年間の達成目標(業績目標)を設定し、1年の終わりにその年の「目標達成度」を評価して、翌年の目標と年俸(年間給与)を決める制度という事になる。
この年俸制度は、労働者の「生産性向上と活性化」を促進する趣旨と、労働者の「個々の能力」成果主義による評価制度を反映する形で採用されている。
ここからポイント!
本来、残業や休日労働などの問題と、年俸制度は直接の関係は無いという考えもあるが、実態としては関係ないとは言えないのも事実である。
それは、能力の低い労働者が、残業や休日出勤をする傾向が有り、その結果「割増賃金」残業代が結果的に「低年俸者」の収入を押し上げている。
簡単に言えば、能力の低い労働者の方が残業が多くなる為、結果的に収入が多くなるという「矛盾」が生じているのである。
当面の課題は、年俸制の導入における「残業手当等」の、いわゆる年俸賃金以外の賃金(残業による割増賃金)を抑制し、「実力に応じた年俸制」の運用をいかに実現していくのかが求められるところである。
能力があり、また能力を高く評価された労働者にとって、自分がここまでやってきた努力と苦労の結果として「高額年俸」の評価と次年度の目標を設定しているにも関わらず、単に仕事が遅いとか、仕事が出来ないとの理由で、遅くまで会社に残り「残業」することで「割増賃金」を発生させ、給料が多くなる事は、納得出来ないのも事実である。
この実態を踏まえた、人事評価制度と業績による評価制度を上手に使い、真の評価制度を創ることで、経営者が抱く残業代の不合理を無くしたいものである。
これは、経営者だけではなく、仕事が出来る年俸者も抱く「不合理」である事にも変わりはないといえよう。
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